ドラえもんコント〜ジャイアンリサイタルの対処法をディベート〜

 穏やかな春日和の午後、のび太は顔を青くして家に帰宅した。
部屋にに入るなりすぐに漫画を読んでいるドラえもんに泣きついた。
ドラえもんが呆れ顔でのびたに聞いた。
ドラえもん「またジャイアンか?」
のびたは涙で顔を滅茶苦茶にしながら何度も頷く。
のび太「そうなんだよぉ!!ジャイアンがリサイタルを…!」
ドラえもん「何だってぇぇぇ!!?
あいつまだ自分の才能が穢れていることに気づかないのか!!!
もう本当のバカだ!ゴリラだ!
しかしリサイタルを断ると半殺しにされるから行かないわけには…。」
のび太「そこでドラえもん!道具を出してよ。」
のびたはいつもの様にドラえもんに道具をねだった。
だがドラえもんは、ため息をつくだけでポケットを探ろうとはしなかった。
のびたが再度泣きながら交渉すると、
ドラえもんも半泣きしながら道具を出さない理由を述べた。
ドラえもん「もう乗り切る道具は全部ジャイアンに見破られたからなぁ。
そんなもの持ってったら没収されて蛸殴りに合うぜ…うぅ…。」
ドラえもんが泣いてしまったので、
のびたは泣き止んで冷静を取り戻し、対処方法を考えた。
そして数秒の後、名案が思い浮かんだ。
のび太「そうだ!ここは一つ皆でアイツの歌を批判したらどうかな?
さすがのジャイアンも黙ると思う!いや、絶対黙る!」
それを泣きながら聞いていたドラえもんは泣くのを止め激怒した。
ドラえもん「バカか!あいつは以外に心が打たれ弱いってことを忘れてるだろ!?
一声に批判なんかしたら男子は全員ぶちのめされて
ジャイアンは川へ身投げでもするに決まっている!!」
意外にものびたはそれに反論した。
のびた「だったら自殺をやめさせる道具と身を守る道具を出せばいいだろ!」
ドラえもんはのびたに反論されたのに驚き、数秒の沈黙の後素直に頷いた。
ドラえもん「そうだね。しかしそうなったとしてもアイツの心に深い傷が出来ることは間違いないだろう…。」
のびた「それもドラえもんの道具で何とかしてくれ!」
ドラえもん「道具で傷を埋め合わせるのは効果的ではないんだ。
人間の心を完全に癒すのは人間の心しかない!」
ドラえもんは意外に為になる発言をした。
その時インターホンがなり、
しずかとスネ夫がドラえもんにリサイタルの相談をするために尋ねてきた。
玄関まで出迎えに行くと、スネ夫が傷だらけでしずかの肩を借りて辛うじて立っていた。
心配になったのびたが聞くと、スネ夫はリサイタルを大声で批判していたのをジャイアンに聞かれ、
自転車にくくりつけられて町内を轢き釣り回されたのだと言う。
のびた「それは災難だったなぁ。怪我は『お医者さんカバン』ですぐ治そう。
さあささ、上がって上がって!!」
二人を二階の部屋に連れ込むと、ドラえもんが早速白衣を着てお医者カバンを出して迫ってきた。
ドラえもん「患者はスネ夫か。どれどれ、私が診察しましょう。」
のびた「前置きはいいから早くしろ!それにその白衣意味ないだろう!!」
ドラえもん「意味はあるさ。こうすることで医者の雰囲気を出し、
患者の治療効果を高めることが出来る。「病は気から」という諺にもあるようにさ。」
またドラえもんの妙な薀蓄から別の討論が始まるのである。
のび太「白衣は間違ってる!普通は言葉でやるだろ、そういうの。」
そこにしずかも加わり、二人より為になる発言をした。
しずか「言葉もあるけど、何より『心』ね!
心を込めてそのような発言をしないと治療効果は高まらないと思うの。
あと『祈願』することも大事だわ。
町外れの神社に毎日お参りに行くのよ。
それで回復したってケースも過去の伝記によく綴られているわ。」
ドラえもんが反論する。
ドラえもん「このお医者カバンで素人でも治療できるわけだが…
この道具を知らない平成人は子供の遊びにしか見えない。
そこで白衣でも着れば「この人は医者だ。」という信用をされ、
結果的に治療をたやすく受けてもらえ、治癒効果も高まるんだ。
まず第一歩に医者であることを信用してもらわなくちゃいけないんだ!
だから僕は白衣を着て待っていた。」
しずか「そしたらベドウィンやイヌイットの医者はどうなるの!
彼らには白衣はないけどちゃんと医者と認識されているわ!
その辺はどう説明するの!!?」
のびた「ドラえもんは一見たぬ…いや、動物に見えるし、僕達は子供だ。
だから白衣を着て信用してもらう必要があると思うよ。」
のびたは一体どちらの見方なのであろうか。
しずか「言わせて貰うけどね!大人の人でも医者だと信用しにくい人も居るわ!
例えばのびたさん、あなたの未来の姿のように。」
しずかの厳しい発言を聞いたのびたは泣きながら言う。
のびた「あ酷いよしずかちゃんあんまりだぁぁぁぁぁ!!」
スネ夫「どうでもいいけど僕の怪我はイツ治してくれるの!!」
そこで一同は我に帰り、スネ夫の治療を済ませた。
ようやくジャイアンリサイタルの対処討論が再開した。
だが再開早々、部屋に珠子がおやつを持って乱入してきてしまった。
珠子「いらっしゃい。おやつよ。はい『ポスカム』。仲良く食べてね。」
お菓子のストックが無いとはいえ『ポスカム』は無いと思うが、
皆リサイタルのことで必死なので何も言わずにガムを噛んだ。
スネ夫「じゃあ僕がまとめ役を…いや、ドラえもんのほうがいいな。」
のび太「ドラえもんはすぐ話題を変えるし、それに纏めるほうが向いてるしね。」
ドラえもん「酷いよ君達!」
ドラえもんは泣き叫んだが、次のしずかの発言で咄嗟に泣き止んだ。
しずか「たけしさんのリサイタルの中止は難しいと思うわ。
一斉に批判したとしても後が怖いし…。」
スネ夫「そうだよねぇ。そうすると素直にあの公害音響を聞き入れるしかないのか?」
のびた「ねぇドラえもん、もう一度良く道具探してみてよ。
必ず何かあるはずだよ。…そうだ!『もしもボックス』だ!あれがあるじゃないか!」
スネ夫「そうか!あれで「ジャイアンのリサイタルが中止になったら」って言えばいいんだ!」
しずか「簡単に案が出たわね。もしもボックスならたけしさんに知られることもないし。」
ドラえもん「一体何のための一時間だったんだ、もう…。」
そしてもしもボックスによって軽くリサイタルは中止されたのであった。
その日一日、ジャイアンは家の手伝いをさせられ、
風邪を引いて数日間学校を休んでしまった。
−完−
 

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