ベストフレンド


一話
ここはいいところだ。窓を開ければ湖が見え、そしてバンガロー造りの家。なかは家族5人が広々とすめる。部屋はせいぜい風呂場と寝室ぐらいだ。と言ってもほとんどソファーで寝てるがね。 こんなだから妻は別れたのか。いや、あいつが他の男をつくっただけだ。
 そうだ彼に電話しよう。日本から離れちまったがあいつと俺はくされ縁でもあるからな。
  「ようのび太。俺だよ出来杉。 ん、読んでくれたか。 最近また小説を書いてる。青いロボットと、とある少年との冒険を描いたやつなんだけど・・・。また読んでくれる? お前昔とはだいぶ変わったな。文学が嫌いだったのにな・・・。タイトル?ああわかったよ。タイトルは
 ベストフレンド だ。」

俺はちょいと町まで出かけてみることにした。すごい静かな町さ。 そうだジョニーの漫画屋に行ってみるか。店長のジョニーは少し太ってて頭は不毛の地さ。でもまあ悪い奴じゃない。店に入るとてかついた頭を隠すように帽子をかぶった店長がいた。商品の漫画をどうどうと読んでいて、俺にきがつくとあせって漫画を棚に戻した。
 「デキスギ。なんだい。また日本の漫画を買いに来たのかい?」
 彼が名字でよぶのはしかたない。下の名前は教えてないからな。
 「ああ、ジャンプだ。あと・・・」
 「コーラね。」
この男は特徴として一回おなじものを買うと、その男を常連みたいな扱いをする。まあ俺は常連だがね。 ちょっと意地悪をしてやろう。
  「いや、ミントガムを」
 意外そうな顔をして商品を渡し、少し世間話をして店をでた。
 
 家に帰ると早速ミントガムを噛みながらソファーに仰向けにねころがりながらジャンプを読み始めた。幼き日の哀愁からかなぜか読んでしまう。そういう自分にとって日本語書きのまんまのジャンプはありがたい。いろいろな新人が出てきていた。買ったんだから全部みてやろう。
  「おっと」
 そこそこ厚い漫画雑誌を仰向けでみるのは少し無理だったのか床におとしてしまった。おかけでどこまで読んだか忘れちまった。 なにか変だ・・・。感覚的に思った。重さ、大きさ変わってない。 ん、さっき読んだのと違うんじゃないか。主人公、登場人物ではなく。内容だ。
 「殺してやる」のセリフが増えてる。暴力表現もだ。おとなしい小柄な男だったはずが、突然となりの女の頭を食ってる。 おかしい。ジャンプはこんな表現は禁止じゃなかったのか。こういう漫画に慣れてるはずの俺でも・・まるで本当の血の臭いがするような気がしてきた。一端漫画をテーブルに置き、味の無くなったガムを包み紙に出すことにした。ガムはこの瞬間、役割を終えるのだ。だが俺の口からでてきたのは何かの皮だった。 
     「くそ!」
 それを床に落としてしまった。ソファーに置いてあったミントガムのケースの周りにはハエがたかっていた。
 またくそを連発して口から放った。 そしてふと、テーブルに目をやると、 気づかなかった・・・。書かれていなかったはずの文字が、赤いペンで書かれていたのだ。
  “22 →  21”と。


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