序章

足がほつれる。息が苦しい。喉の奥が焼けるように熱い。
もう限界だ。走れない。
最後の力で、横の裏道に駆け込む。ミスった。行き止まりだ。
もはやどうしようもない諦めの気持ちと、体の疲れで、
体がよろけて壁に寄りかかるように倒れる。死ぬ。
呼吸を正す。だがそれは、非常に難しく感じた。
そこまでに、僕の身体は、危ないのか。
「諦めろ」
いつの間にいたのか、目の前の男が言った。
「もう、逃げ場は無い」
後ろは壁。横も壁。前はこいつ。確かに、無い。
そいつはこう続けた。
「今なら、まだ許してもいいが?」
「黙れ。クズ」
これが、今の僕にできる精一杯の抵抗だった。
「ふん・・・口だけは、最強かな」
そう言うとこいつは、右手を前に出す。
「選ばせてあげよう。我々のもとへ戻るか」
そこで一旦、言葉をきると、いやな笑みを浮かべて
「彼女のようになるか」
そう言った。そのとたん、僕の中で、何かがはじけた。
「それを・・・!ゆうなぁぁぁぁ!」
気づくと僕は、そのままそいつに飛びかかっていた。
何も考えていない、ただの突進だった。
「ぐぁ・・・!」
当然のごとく、返り討ちにあう。
「もう、君は使えないんだ。生身の身体で、私にかなうかね?」
無論、無理だった。ただでさえ、この男は強い。そいつに、魔法の使えない
僕がかなうハズがない。
そいつは、僕を笑いながら見つめて、不意に言った。

「さぁ、どうするのかね?」
 

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