広い店内。吹き抜けになっている高くて綺麗な天井。
巨大デパート、いやむしろショッピングモール「ホワイト・スノウ」
内部は4階建てで老若男女誰でも楽しめる内容・・・・。素晴らしい・・・。
素晴らしいんだけど・・・。
「・・・重い・・」
何故に僕はデパートで筋トレなんぞをせないかんのじゃ?
この回りが見えない状態。見えるのは目の前のカラフルな包装紙だけ。
しかもなんだこの量と大きさ重さは。
「倒れないでね。私の大事な荷物なんだから」
いや、無理かも。エスカレーターの段が見ない。
「大丈夫?ふらついてるよ(笑)?」
笑顔で言われた。苦笑しつつ倒れないように体中の力と集中力と気を総動員。
「そう思うんなら少しくらい持ってくれても・・。ねぇ?」
「い・や。だって君が遅れたんでしょ。これは一つの反省の形とゆうことで・・」
そうか、そうだったな・・・・。
あれ?この人さっきたしか・・。
「・・・水に流すって・・言ってなかったっけ」
「・・え・・・ゆってない・・・・よ・・・?」
目を合わせてくれ。泳いでいるぞ。
「・・・分かったよ・・。っと!」
足に、段が当たった。ああ。どうしよ。
「あ」
静香の、声が聞こえた。怒られる・・・。荷物が中を舞った。同時に、鼻に衝撃が。
「・・・何してんの?」
少し怒気がふくまれてる。やばいな。下手に答えたらもう二度と地面に足がつかなくなるかも知れん。
「こけました」
無難・・・なのか・・・?怖・・・。
デパートを出るまで、何をされるか、気が抜けなかった。
この日で、筋力と、精神力が鍛えられた気がした。
・・・・・多分、気のせいだ。
 
第三章@「真夜中の駅前」
 
12月30日。深夜1時46分。駅前。
ロータリーに揃っている人影。20人ほど。
二手に分かれている。
片方は黒の服を着ている。手には金属バットやナイフなど武器を。
巷で有名な不良連合。「ジャイアンツ」。
対する白い服。骸骨のマスクに全身白ずくめのコートを羽織っている。
手には何も持っていない。
お互いをにらみ合ったのち、ジャイアンツの先頭にいた一人の青年が前に歩み出し、口を開く。
「・・・俺らジャイアンツに喧嘩うるたぁ・・覚悟はできているんだろーなぁ?あ?」
対する白コート。無言。だがしばらくし、笑い声があがる。
引きつらせた笑みと青筋を顔に浮かべた青年は、静かに低く言う。
「・・・・構え・・」
と、同時。背後のジャイアンツのチーム、武器を握り、身構える。
「やれ!」
青年のかけ声とともに、飛び出す。
白コート、動かない。
ジャイアンツの一人が金属バットを振り上げ、白コートの先頭、リーダーであろう奴に、殴りかかる。
「死ねやぁぁぁぁっ!」
「お前が、な」
突如、空間ではじかれ、飛びかかった男は後方にのけぞり、地面に落ちた。
「!!」
ジャイアンツのメンバーは一斉に立ち止まる。一瞬の、怯み。
白コートが動いた。黒い影がジャイアンツの間を縫っていく。そのたびに倒れるチーム達。
「な・・・!え!?」
青年が驚愕の声を上げ終わる前に黒いコートを着て立っている人間は、彼一人になっていた。
青年は一言。
「お前らは・・・・一体・・・・」
問いに、白コートは沈黙。ややあって。
「警察だ。非行少年用特別対策課第3隊。通称『特対課』お前達を、捕まえに来た」
低く、押し殺した声。身体の芯が冷え切るような感覚。
この感覚に青年は覚えがあった。
「まさか・・・・お前・・・」
昔、少年達をいじめていた。
「まさか・・・」
彼が一度だけキレた時。あの時は何事も無かったが、その時の感覚と同じ。
いや、それ以上。
「五月蠅い、お前」
白コートが手を伸ばした。青年に向けて。そして一言。
「目が覚めたら、何もかも忘れて、刑務所にでもいるだろう。そこで君たちは親に引き取られる」
一息。
「そして、処理はお前らの親に任せる。つまり、このチームは解散だ。じゃあ、もう二度と会うことはないだろう。さよなら、不良連合リーダー、剛田 武」
意識が遠のいた。目の前が歪み、何も見えなくなった。そして、地べたへと崩れ落ちる。
もう動かないのを確認し、白コートは後ろに待機するためだけに出てきたのか分からない仲間に声をかけた。
「こいつらを連行しろ」
「了解」
行動を開始する。黒コートどもを担ぎ上げ、停めてあるトラックのコンテナに放り込んでいく。
誰一人として目覚めない。
やがて、全ての作業を終え、一人の隊員が、椅子に腰掛けて項垂れている白コートに駆け寄り報告をする。
「終わりました」
白コートはその一言にふらふらとマスクを外し目をこすると、2,3度しばつかせる。やべぇ寝てた。と呟くと
「ご苦労」
と一言。隊員は「有難うございます」と軽く会釈をすると、口を開く。
「剛田 武は、15歳とのことです」
「知っている」
隊員は以外そうに目を見開き
「しってたんですか。隊長と、同じですよね」
「ああ、そして古い知り合いだ」
隊員は、さらに驚いたような顔をし、
「隊長と、あいつが?」
白コートは苦笑。笑いの余韻が残るまま一言。
「まぁね」
そういうと、欠伸をし、体をのばす。のろのろと立ち上がると
「・・・・・眠い・・・・帰る・・・・」
とぼやき、ゆっくりとその場を去ってゆく。
残された隊員は、「勝手なひとやわ・・」と呟き、さらに一言。
「あんなんで、あの人に本当に全魔法国交渉を任せていいのか・・・・・?」
その言葉は、背後の爆発音に、かき消された。
「!」
反射的に後ろを振り返った。その惨状に、声を失った。
コンテナが吹き飛んでいた。跡形もなく、綺麗さっぱりに。
「な・・・・!!」
やっとのことでしぼり出した声は消え入りそうにかすれた一文字だけだった。
爆音と声に少し遅れて破片が頭上を舞い、辺り一面に降り注ぐ。
「何が・・・・!?」
降ってくる破片が頭に当たっても呆然と、微動だにしない隊員。
「一体何が起き」
しかしその言葉は最後まで続かなかった。
言い終わる前に隊員が宙に舞い、5秒してから地面にたたきつけられた。
「・・・・・・・」
途切れそうな意識の中、隊員は確かに見る。
こちらを見下ろし、口を三日月にする、
一人の青年を。
 

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