「それじゃー、また今度」
夜なのに、明るい声が耳に届く。
「う・・・うん・・・」
それに反して、僕の声は重々しく、呪われている(?)ようだった。
僕は奇跡的に地獄のような空気から抜け出せた。
この嬉しさを今すぐ誰かに伝えたくなったが、こんなちっさい
喜びで舞い上がっている自分にむなしさを覚え、考え直す。
あの精神訓練と身体能力上昇訓練を兼ねた買い物が終わり、僕は静香を家まで
送って、別れた。
なんかあれから何もなかったのが、とても怖い。昨日見た、「呪怨」より怖か
った。まあ、何も無ければそれはそれで良しだ。うん。そう考えよう。
ドアが閉まる音がした。
さてと、帰るか。もう時間は夜の10時だ。これ以上ここらを彷徨いていると
絡まれそうだ。
えーと、僕ん家はあっちかな。
家に帰ろう。そして、ゆっくりと寝て、明日に備えよう。ってか明日学校だ。
そう考えるとプチ鬱入ってきた。
そう考えて、一歩踏み出したとき。ズズン・・・という音がした。
「!!!」
直後、なんか光の棒(?)が縦に空に昇っていく。
なにか危険な予感がしたが、心の中の野次馬魂が騒ぐ。
行かねば!とゆう使命感にも似たものが疼く。
故に、音がするほうに足がむいてしまった。

「なになに!爆発!?ねぇ、暇?見に行こ!!」

すぐ横のドアが開き、静香が飛び出しながらコートを着ながら捲し立てる。
「あ・・・その・・・」
言う間もなく、手を掴まれ、半ば、引きずられる格好で連れて行かれる。
振りほどこうとしたが、僕の未来が風に吹かれた蝋燭の灯火の末路になるので、
やめた。
だからそのまま、連れて行かれる。

この時、やめておけばよかった。

そうすれば、今もこんなふうに、彼女の近くにいれたのに。

でも、全ての原因は

第三章A「そして主役は舞台の上に」

隊員はその笑顔を見た後、気を失った。
「くくく・・・・」
その隊員の傍らに立ち、笑い出す男。
その声は、どこまでも低く暗く、そこのない程、恐ろしく。
「ひぃ・・・」
回りにいた隊員達はその声に、一瞬怯む。
その一瞬が、隊員達にとっては、命とりで、少年にとっては、これ以上ない程、
好機で。
「くひゃひゃひゃっ!!」
狂ったように笑い出し、
「!!・・・どこへ!!」
消えた。その場から。忽然と。影も残らずに。
突然、彼らの後ろから声が聞こえた。
「おっせぇよ」
憎しみの交えられた声。
その声を聞いた者はその場に何人いたことか。
隊員達は、皆、その場にひれ伏した。
「あはははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
爆煙の前、少年は一人、狂ったように笑う。
ただ、ひたすらに笑う。
笑って。笑って。笑って。笑って。笑って。笑って。笑って。笑った。
しかし、その笑いは、唐突に遮られた。
少年の頬に、拳がめり込む。一瞬、全ての音と、動きが止まる。
そして次の瞬間、収縮されていた、大気と、音と、力が破裂する。
爆発音にも似た、とてつもない破裂音がし、少年は100mあまり吹き飛ぶ。
体がぐるぐる回り、地面を抉りながら。
「・・・・・・・っち」
しかしすぐに体を回転させ、地面に立つ。
そしてすぐ、自分を殴った相手の顔を見る。
髑髏の仮面に、白コート。
その姿を見て、少年。いや、剛田 武は怒りに震えた。
あいつが、自分と、自分の仲間を倒した。
「殺す・・・」
武の口から、嗚咽にも似た声が出る。
「・・・何故、貴様が魔法をつかえる・・・」
武の声が、まるで聞こえないとゆうふうに、振る舞い白コートも、
殺意を向きだしにし、問う。
しかし、

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

武は狂ったように同じ言葉を繰り返す。
いや、マジで狂ってんのか。
白コートはそう考えた。
その思考の時間、わずか0.01秒。
しかし、そのスキを、武は無駄にしなかった。
一瞬で魔法により倍増に倍増を重ねた正拳が髑髏の仮面に当たった。
白コートは仰け反り、仮面の破片を地面にばらまく。
「・・・死んだか」
武は白コートを見下ろし、低く呟いた。

その時、

「あー。やっと着いた!!」
少女の声が響いた。
無関係なその声の方に、反射的に、魔法を打ち出す。
彼は、狂っていた。
誰でもいいから、殺したかったのか。

またしても、その少女の声が聞こえた。
「なんか・・・」
声は最後まで、聞こえなかった。

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