第一話

 練馬区の一角。
 彼ら二人がそれを見つけたのは、単なる偶然だった。たった今、そこの歩道を二人
で歩いてただけだった。最近起きている通り魔の犠牲者がついに100人を超えた。
という、なんでもない話(なんでもないことではないかもしれないけど)をしていた
だけだった。
 でも、この、薄暗く汚い、誰も自分から進んで入る奴はいねぇよ。と言われている
路地裏から漂ってきたなにかの異臭が、彼らのうち、一人の足を、止めさせた。
 最初は、彼も気にはしなかった。だが、なにかの予感がしたので、もう一人に、声
をかけた。
 「なんか、変な匂い、しねぇ?」
 「そりゃすんだろう。そんなとこなら」
 もう一人は、軽く流した。しかし
 「や・・・この匂い・・・死体だ!」
 思いついたような、明らかに芝居がかった言い方にもう一人は
 「ほほぅ。それは大変だ。急いで調べたまえ大内警部補!」
 と、同じ調子で、しかもかなり真顔でそう言った。誰が警部補だ。俺は警視総監だ。
と大内は心の中で思い「は、軽侮」と、と言った。
 中に入った二人は、直前まで、誰が軽侮やねん。ホンマとろいなぁ、おまはんや。
という、まったく意味の無い馬鹿なことをやってたのだが、その光景をみて
大内は咥えていたタバコを落とし。
もう一人は、手に持っていた鞄を、下にあった汚水の上に落とした。
 それは、人間だった。ただし、倒れているのは身体だけで、頭は無い。完全に、死
体だった。それは、あの通り魔と、同じ手口。
 

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